Microsoft Fabric ② ― 活用編:どう使い、価値につなげるか

前編では、Microsoft Fabric が OneLake を中心にデータ活用を統合するプラットフォームであることを整理しました。後編では、主要ワークロードや生成 AI 機能、ガバナンス、コストの考え方をひとつの流れとして整理しながら、Microsoft Fabric を「どう使い始め、どう価値につなげるか」を具体的に解説します。

ワークロードの入口は「Data Factory × Power BI」が現実的

Fabric では、データ活用の工程や役割に対応した機能を「ワークロード」として提供します。ワークロードは、目的別に整理された機能の集合であり、入口は異なってもデータはすべてOneLakeを通じて共通管理されます。そのため、工程ごとに別製品を寄せ集めるよりも、連携・統制をシンプルにしやすい設計です。
スモールスタートの入口として選ばれやすいのが、Data Factory(取り込み・加工)とPower BI(可視化・共有)の組み合わせです。

■Data Factory:データを「集めて・整える」ための入口
Data Factory は、社内外に散らばっているデータを集めて、分析に使いやすい形に整えるための機能です。画面操作(GUI)を中心に進められるため、複雑なプログラムを書かなくても、データの取り込みや加工を進めやすい構成になっています。
具体的には、
・Dataflow Gen2:表計算ソフトのような感覚でデータを加工・変換
・Pipeline / Copy job:複数の処理をまとめて実行したり、定期的にデータを取り込んだりする
といった機能が用意されており、「どこにあるどんなデータを、どう使うか」を画面上で整理しながら設定できます。
さらに Copilot を活用することで、「このデータを分析しやすい形にしたい」といった自然な言葉での指示をもとに、Dataflow Gen2 上でのデータ加工を支援する仕組みも示されています。(※利用できる範囲や機能は環境・時期によって異なります)

■Power BI:データを「見える化」して、仕事に活かす
Power BI は、整えたデータをもとにグラフや表を作成し、状況を分かりやすく可視化するための機能です。データの意味や計算ルールをまとめた「分析モデル」と、実際に見る「レポート」を共有することで、意思決定を支援します。
Power BI の特徴は、作ったレポートを業務の流れにそのまま組み込める点です。Teams、PowerPoint、Excel、SharePoint、Outlook など、普段使っているツールと連携でき、分析結果を「特別なツールの中だけで見る」のではなく、日々の業務の延長線で自然に使える点がPower BI の大きな特長です。

活用が広がったら:Lakehouse / Warehouse で“使えるデータ”を育てる

Data Factory と Power BI でデータ活用を始め、使う人やデータ量が増えてくると、「どのデータを、どんな目的で整えておくか」が重要になってきます。Microsoft Fabric では、こうした段階で活躍するデータの置き場所として、目的に応じて Lakehouse と Warehouse を使い分けられるようになっています。

■Lakehouse:多様なデータを集約し、探索・加工・提供までを柔軟に行う置き場
Lakehouse は、数値データだけでなく、テキストやログなど形式の異なるデータも含めて一か所に集約し、分析・AI活用に向けた探索や加工を進めやすくするための仕組みです。取り込み後の下ごしらえ(整形・結合・品質チェック)から、分析に使うテーブルとしての提供まで、段階に応じて柔軟に扱えます。
たとえば、取り込んだばかりのデータ(まだ整備途中のもの)や、検証中で使い道が固まっていないデータ、あるいはAIや高度な分析に使うために特徴量作成などを行うデータを扱う場として利用されます。必要に応じて、整備したデータを“共有して再利用できる形”で管理することもできます。

■Warehouse:整備済みデータをT-SQL中心で安定運用し、定例集計・業務レポートに活かす置き場
Warehouse は、あらかじめ定義したルール(データ定義、計算ロジック、粒度、命名など)に沿って整備したデータを、主にT-SQLで扱いやすい形で管理し、日々の集計やレポート作成に安定して使うための仕組みです。売上やKPIなどの確定指標、定例レポートや経営ダッシュボードのように、正確さ・一貫性・再現性が求められる用途に適しています。

Lakehouse と Warehouse は役割が異なりますが、どちらも共通のデータ基盤である OneLake 上にあり、同じセキュリティやガバナンスのルールのもとで管理されます。
そのため、用途ごとに同じデータを何度もコピーする、場所ごとに管理方法がバラバラになるといった事態を避けやすく、利用が広がっても運用が複雑になりにくい構成になっています。

生成AIを“後付け”にしない:Copilot と Data Agent で活用の裾野を広げる

Microsoft Fabric では、生成 AI を特別な専門機能として切り出すのではなく、日々のデータ活用を支える仕組みとして、最初からプラットフォームに組み込んでいます。

たとえば Copilot やエージェント的な機能を通じて、「売上はどうなっている?」「どの地域が伸びている?」といった自然な言葉での問いかけを起点に、関連するデータの把握や分析のヒントを得られる仕組みが段階的に提供されています。
これらの機能は、確認すべきデータや分析の方向性を利用者に示しながら、必要な集計や分析を進めるための支援を行うことで、専門的な操作に詳しくない人でも、データを活用した判断に参加しやすくすることを目指しています。
(※利用条件や利用可能な範囲は、環境によって異なります)

ガバナンスとコストはセットで考える:全社展開に耐える運用設計へ

Microsoft Fabricを全社で使い始めると、データ活用の幅が広がる一方で、「誰が何にアクセスできるのか」「安全に共有できているか」が重要になります。Fabricはこの点を後付けではなく、プラットフォームに標準搭載の考え方で整えられるように設計されています。

■“見せてよいデータだけを見せる”ためのアクセス制御が搭載
データ活用の現場で起きがちなのが、「便利に共有した結果、機密情報まで見えてしまった」という事故です。Fabricでは、ワークスペースやアイテム単位の権限管理に加えて、フォルダー、行、列レベルなどのきめ細かなアクセス制御を前提に、機密データを保護しながら安全に共有できる方向性が示されています。

■データを“守る”だけでなく、“把握できる状態”にする仕組みがある
セキュリティは「遮断すること」だけではなく、データ資産を把握し、信頼して使える状態を保つことも含みます。Fabricには、データの所在や利用状況の把握、リネージ(どこから来てどう加工され、どこで使われるか)といった“可視化”の考え方が組み込まれていることが示されています。

■コストは「容量(コンピュート)+ストレージ」で整理する
コストの全体像は、まず (1) Fabric 容量(コンピュート)と (2) OneLake のストレージの2つで整理すると分かりやすいです。Fabric はワークロードごとに個別の計算資源を持つのではなく、テナント内で共有される「容量(Capacity)」を通じて各機能が動作するため、どのワークロードを使ってもコンピュートは同じ“容量プール”から消費されます。加えて、OneLake に保存するデータ容量に応じてストレージ費用が発生します。なお、利用形態によっては Power BI Proのユーザーライセンスなど、追加コストもあわせて考慮が必要です。
このため、最初は小さな容量で始め、利用状況(どの処理がどれだけ容量を消費しているか/ストレージがどの程度増えているか)をモニタリングしながら、段階的にスケールする判断がしやすい設計です。特に容量(コンピュート)は、従量課金と予約購入、稼働の停止・再開など運用の取り方で費用感が変わるため、業務時間帯やバッチ実行タイミングとあわせて最適化していくのが現実的です。

まとめ:まず“価値が出る一歩”から始めて、OneLakeを軸に広げる

Microsoft Fabricは、OneLakeを中心にデータ活用を統合し、ワークロード・生成AI・ガバナンス・コストを一体で考えられるプラットフォームです。最初から完璧を目指すのではなく、まずは「小さく始めて広げる」道筋を取りやすいことが、Fabricをデータ統合の中核として検討する大きな理由になります。

ピーエスシーではFabricを含むMicrosoft製品の利活用支援を行っておりますので、ご希望の場合はぜひお問い合わせください!

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