Work IQがもたらす新しいAI体験――Microsoft 365 Copilotの進化とその価値
2025.12.23
2025年のMicrosoft Igniteで発表された「Work IQ」は、Microsoft 365 Copilotの新たな進化を象徴するキーワードです。AIが私たちの働き方をどのように変えていくのか――本記事では、その最前線に立つWork IQの仕組みやメリットを解説いたします。
Work IQとは何か?――Copilotの頭脳を強化する新レイヤー
まず、Work IQはMicrosoft 365 Copilotに新しく搭載されたインテリジェンスレイヤー(AIがユーザーや組織の業務文脈・履歴・関係性などを多角的に理解し、より高度な推論や提案を実現するための知能基盤)です。Work IQの登場によって、従来のCopilotと比較してより深くユーザー自身の業務内容や役割、会社の情報まで理解し、その人に最適化された回答を返すことができるようになりました。つまり、Copilotが単なる“便利なツール”ではなく、“あなたの仕事に寄り添うパートナー”へと進化したのです。

人間の思考プロセスをAIに応用――「感覚・記憶・思考」の三層構造
Work IQの仕組みは、人間の思考プロセスにヒントを得ています。人間は何かに触れたとき、まず「感覚」で感じ取り、次に「記憶」と照らし合わせ、最後に「思考」で答えを導きます。Work IQはこの流れをAIに置き換え、以下の三層で情報を処理します。
• データ(感覚):SharePoint、Teams、Outlookなどから業務データを収集し、ユーザーの活動や組織の動きをリアルタイムで把握することで、AIは「今、何が起きているか」を的確に捉えます。
• メモリ(記憶):ユーザーのスタイルや思考パターン、過去のやり取りや行動履歴を記憶することで、AIは「この人はどんな傾向があるか」「どんな意思決定をしてきたか」を学習し、個々の特徴を蓄積します。
• 推論(思考):蓄積されたデータとメモリをもとに、AIは「次に何が必要か」「どんな支援が最適か」を考えて将来の業務展開を予測し、ユーザーが必要とする情報やアクションを先回りして提案します。
この三層構造によって、Copilotは「あなたの仕事や立場に合わせた最適なアドバイスや提案」をしてくれるのです。

Work IQのメリット――機能面から見る進化
Work IQの最大のメリットは、その高度な機能にあります。企業の業務効率や意思決定を根本から変える力を持っています。それでは、Work IQがもたらす具体的なメリットをご紹介いたします。
■文脈理解の精度向上と回答の最適化
Work IQは、ユーザーの過去の業務データやコミュニケーション履歴を分析し、現在の状況や目的に合わせて最適な情報やアクションを提案します。これにより、単なるキーワード検索では得られない”本当に必要な答え”が手に入ります。たとえば、同じ「Microsoftの新サービスについて教えて」と質問しても、営業担当には営業向けの活用例、マネージャーには組織運営に役立つ情報、エンジニアには技術的な詳細――といった具合に、立場や過去のやり取り、関係性に応じて最適な答えが返ってきます。
■継続的な学習と記憶
一度きりのやり取りではなく日々の業務履歴や行動パターンを蓄積して、AIが“あなたらしさ”を学習していきます。これにより、使えば使うほどCopilotが自分にフィットしていく感覚を得られます。
■最適なエージェントの推薦
Work IQは、過去のプロジェクトや社内コミュニケーションをもとに、今の業務に最適なAIエージェントやツールを自動で提案します。自分で探す手間が省け、業務のスピードと質が大きく向上します。
■セキュリティとガバナンスの強化
蓄積されたメモリやデータは、企業のポリシーやアクセス権限に基づいて厳格に管理されるので、安心してAIの力を活用できる環境が整っています。
IQスタック――Work IQだけじゃない!さらに広がるAIの可能性
Work IQは単独ではなく、IQスタックという包括的なAI基盤の一部として機能します。IQスタックは、インテリジェンスレイヤーをさらに発展・拡張した複数の知能基盤の集合体で、日常業務の文脈を学習する「Work IQ」、業務データをセマンティック(意味的)にモデル化する「Fabric IQ」、知識検索とRAG機能(AIが外部のデータベースから情報を取得して、それをもとに回答を生成する仕組み)を提供する「Foundry IQ」の三層から構成されています。
■Fabric IQとは?
Fabric IQは、企業内の膨大な業務データを“意味”でつなげる役割を担います。データベースやファイル、チャットなど様々な情報をセマンティックにモデル化し、AIが「何が重要か」「どの情報が関連しているか」を理解できるようにします。これにより、社内の複雑な業務データも一元的に管理・活用でき、横断的に繋がることでCopilotやエージェントがより深い洞察を得られます。
■Foundry IQとは?
Foundry IQは、組織の知識検索とRAG機能(検索+生成AI)を担う層です。社内外の情報源から必要な知識を素早く検索し、AIがその情報をもとに最適な回答や提案を生成します。たとえば、社内規程や過去のプロジェクト資料、外部の最新情報などを横断的に検索し、Copilotが“今必要な知識”を即座に提供できるようになります。
▼IQスタックを構成する3つの概要表
| IQの名称 | 主な役割・機能 | 具体例・特徴 |
|---|---|---|
| Work IQ | 業務文脈・個人/組織の履歴を学習・推論。 ユーザーや組織ごとの業務履歴をもとに、状況に応じた最適な提案や支援を実現する。 |
パーソナライズ、最適なアクション提案。 例)過去のやり取りや役割に合わせて、次に取るべき業務アクションを提案 |
| Fabric IQ | 業務データの意味的モデル化・統合。 社内の様々なデータを意味でつなげ、複雑な情報も横断的に分析・活用できるようにする。 |
データの関連性分析、洞察の深掘り。 例)複数の部門やシステムに分散した情報を一元管理し、業務の流れや関係性を横断的に把握 |
| Foundry IQ | 知識検索・RAG機能による情報取得と生成。 社内外の膨大な情報源から必要な知識を検索し、AIが最適な回答や提案を生成する。 |
社内外情報の横断検索、AIによる回答生成。 例)社内規程や外部情報を横断的に検索し、業務課題に対して即座にAIが回答 |
まとめ――Work IQで“あなたらしい”働き方を
Work IQは、Copilotが「あなた自身やあなたの業務内容、会社の情報」を理解し、よりパーソナライズされた答えや提案をしてくれる新しいAIの仕組みです。人間の「感覚・記憶・思考」をAIに置き換え、データとメモリを活用して推論することで、企業の業務効率や意思決定を根本から変える力を持っています。これからの働き方は、AIが“あなたのパートナー”となり、業務の質と効率を大きく向上させる時代へと進化していきます。
Microsoft製品やCopilotについて「もっと知りたい!」と思った方は、ぜひ以下のブログもチェックしてみてくださいね!
▼あなた専属のAIに進化!Copilotメモリの使い方ガイド
Copilot Memory|Microsoft BLOG|Coo Kai クーカイ|株式会社ピーエスシー
▼Outlook × Copilotでメール作成をもっとスマートに!「カスタム指示」活用術
Copilot & Custom|Microsoft BLOG|Coo Kai クーカイ|株式会社ピーエスシー
▼指示文に悩まない!Copilotプロンプトギャラリー活用術
Prompt Gallery|Microsoft BLOG|Coo Kai クーカイ|株式会社ピーエスシー
なお、ピーエスシーではCopilotを含むMicrosoft製品の利活用支援を行っておりますので、ご希望の場合はぜひお問い合わせ下さい!

















