チームや部署で使い分け!Power Platformの環境とは
2025.06.03
Microsoft社のローコード・ノーコードアプリの総称「Power Platform」。Power Platformの登場により、誰でも簡単にアプリ作成が可能になりました。しかしその一方で、自由にアプリが作成できようになったことで、誤った共有設定などによる情報漏洩といったセキュリティリスクが上がってしまうため、制御したいと考えている管理者も多いかと思います。 そこで便利なのがPower Platformの環境です。環境は用途に合わせて作成可能で、例えばチームや部署単位、機能単位などで制御することが可能です。本記事では、Power Platformの環境の概要と種類についてご紹介します。
Power Platformの環境とは?
Power Platformの環境とは、組織のビジネスデータ、Power Platformのアプリ、チャットボット、フローを保存、管理、共有する場所です。この環境は、用途によって使い分けることも可能です。
例えば以下のような分け方が可能です。
・アプリやチャットボットのテストバージョンと製品バージョンで別々の環境を作成
・会社の特定のチームや部署ごとに、関連データやアプリを含んだ別々の環境を作成
・会社の支店ごとに、別々の環境を作成
環境のスコープ
環境の作成
・環境は、Microsoft Entraテナントに作られます。
・環境の中にあるもの(アプリやチャットボットなど)は、そのテナントのユーザーだけが使えます。
地理的な場所
・環境は地域を選択可能です。既定では日本になっています。
・環境で作ったアプリは、その場所にあるデータセンターで動きます。
Dataverseデータベース
・各環境には、アプリのデータを保存するためのDataverseデータベースを1個作成可能です。なお、ライセンスの種類により作れるDataverseデータベースが異なります。
データソースの接続
・環境で作ったアプリは、その環境の中にあるデータソース(接続、ゲートウェイ、フローなど)だけに接続できます。例えば、「テスト」と「開発」という2つの環境がある場合、テスト環境で作ったアプリはテスト環境のデータベースにしか接続できません。
リソースの移動
・手動でエクスポートして、環境間でアプリやデータを移動することもできます。
環境の種類
それではどのような環境があるのでしょうか。
1.既定の環境
既定の環境は、自動で作成され、削除することができません。また既定の環境は、テナントのすべてのユーザーに共有されます。自由度が高い環境であるため、セキュリティの観点から、既定の環境は組織内で利用方法を検討することが推奨されています。
2.実稼働環境
実稼働環境は、ライセンスを持つすべてのユーザーが作成することが可能です。 1 GBのデータベース容量があります。また既存のDataverseの各データベースに対しても、実稼働環境は作成可能です (バージョン 9.0 またはそれ以降へのアップグレードが必要)。実際にアプリケーションを運用する際に使用する環境です。
3.サンドボックス環境
サンドボックス環境は、ライセンスを持つすべてのユーザーが作成することが可能です。環境のコピーやリセットに加え、実稼働環境への環境の種類の変更が可能なため、動作確認や検証に適しています。
4.試用版環境
<
試用版環境は、1ユーザーあたり1環境まで作成することが可能です。30日間で期限が切れるため、短期でのテストに適しています。
5.開発者環境
開発者環境は、開発者プランライセンスを持つユーザーが作成・使用が可能で、1ユーザーあたり管理センターから3環境まで作成できます。開発、検証の目的でのみ利用可能なため、運用環境へデプロイして使用したい場合は、有償ライセンスが必要です。
6.Teams環境
Teams環境は、Teamsのチームに紐づく環境で、Teams上で利用するアプリケーションのみ作成可能です。Teamsでアプリケーションを作成またはインストールすると自動的に作成されます。各チームは1つの環境を持つことができ、チーム内の Power Apps を使用して作成されたアプリで作成したデータ、アプリ、ボット、フローはすべて、そのチームの Dataverse for Teams データベースから利用可能です。
まとめ
本記事では、Power Platformの環境の概要と種類についてご紹介いたしました。環境には様々な種類があるので、用途に合わせて選んでみてください。 またピーエスシーではPower Platformの利活用支援を行っておりますので、ご希望の場合はぜひお問合せください!